
「任意整理をすると利息が免除される」とは、具体的にいつの時点までの利息が免除されるのでしょうか?
任意整理前に支払いを滞納していた場合はどうなるのでしょうか?
任意整理と利息の問題を、事例をもとにクイズ形式で解説します!
目次
任意整理をした場合、利息はいつの時点まで払い続ける必要がある?
「任意整理をすると利息が免除される」と聞きますが、具体的には、いつの時点からの範囲の利息が免除されるのでしょう? 以下、クイズ形式で利息や未払い利息の問題について考えてみましょう。
クイズ! いつまで利息がつくのでSHOW?
介護職員のAさんはX貸金業者に50万円の借金をしました。以後、滞りなく毎月の借金返済を続けていたのですが、平成27年2月5日に最後にお金を振り込んで以来、仕事の過労がたたって病気にかかってしまいました。医療費の支出の他、仕事を休職せざるを得なくなり、借金の返済が困難な状態となったAさんは、3か月にわたり貸金業者への支払いを滞納しました。
5月10日ごろ、AさんはO弁護士事務所を訪ねて任意整理の相談をしました。Aさんの体調は回復し、以前ほどハードには働けなくなりましたが、今後は定期的な収入が見込めます。
Aさんがおかれた事情を勘案して、任意整理が可能だと判断したO弁護士事務所は、翌11日には各貸金業者に受任通知を送付しました。その後、X貸金業者に取引履歴の開示を請求し、取り寄せた履歴から利息引き直し計算による借金残高の再計算を行いました。
O弁護士事務所は算出された借金額を元に貸金業者と和解交渉を行い、3か月後の8月25日に和解契約が成立しました。
さて、この場合、Aさんは2月5日から8月25日まで約6か月半の間、借金を滞納し続けているのですから、この間にも利息が発生しているはずですね。
Aさんの場合、利息はどの時点まで支払う必要があるでしょうか? 以下に選択肢をあげますので、どれが正解かちょっと考えてみてください。
【1】X貸金業者と和解契約が成立した日である8月25日分まで、すべての借金の利息を払わなくてはならないが、和解成立以後の利息はカットされる
【2】O弁護士事務所が受任通知を発した日である5月11日分まで、すべての借金の利息を払わなくてはならないが、受任通知送付後の利息はカットされる
【3】2月5日に最後にお金を振り込んだ日以降の借金の利息はカットされる
【4】50万円の借金元本のみを支払えばよく、すべての利息がカットされる。過去にすでに支払った利息は元本に充当できる
任意整理をすると、未払い利息・将来利息がカットされる
いかがでしたでしょうか?
通常の任意整理では【3】の内容で交渉がまとまる可能性が高いです。つまり正解は【3】でした。
任意整理では、最終取引日(Aさんの場合、最後にお金を振り込んだ2月5日)を基準として借金残額を引き直し計算し、債務額を確定します。この債務額確定後の未払い利息と将来利息は免除になる可能性が高いです。以下、詳しく解説していきましょう。
【1】について
将来利息とは、和解契約が締結された日から、借金を無事完済するまでの間に発生する利息のことです。【1】の選択肢は、将来利息をカットできるという意味では正解なのですが、利息はもっと前の時点からカットできるので、正解ではありません。
【2】について
未払い利息とは、貸金業者と最後に取引があった日から、任意整理の和解契約が締結される日までに発生する利息のことです。【2】の選択肢は、O弁護士事務所が受任通知を発した5月11日から、任意整理の和解契約が締結される日までの利息をカットできるとしていますが、利息はもっと前の時点からカットが可能です。
【3】について
これが正解です。Aさんの場合、最後に取引があった2月5日以降のすべての利息が免除になる可能性が高いです。
【4】について
これならばAさんには大変嬉しいことですが、残念ながら、過去に合法的に支払った利息まですべて免除になったりはしません。「過払い利息は任意整理をすることにより元本に充当できる」という話をよく聞きますが、これは、過去に利息制限法に違反する高金利でお金を貸し付けていた業者に、その利率の通りにお金を支払い続けていた場合に限ります。
任意整理は弁護士にご相談ください
任意整理では基本的には、借金の元本はカットされませんが、利息が減るだけでもかなり精神的な負担が違うものです。任意整理をして肩の荷を下ろしませんか? 借金の問題は一人で抱え込まずに、弁護士事務所にお気軽にご相談ください。岡田法律事務所は、任意整理の事案を数多く手がける、実績のある法律事務所です。これを機会に是非一度お問い合わせください。